秋といえば食欲の秋。栗、かぼちゃ、りんご、ぶどう、いろとりどりのおいしいものがたくさん並ぶ季節です。しかし、食べ過ぎると太ってしまうので制限している人もいるかと思いますが、この時期に気をつけたいのはむくみです。本記事では、秋にむくむ原因とむくみの元となる水分を排泄する働きのある飲み物を紹介します。
▼秋にむくむ原因

1.寒暖差による冷え
秋は朝晩と日中の気温差が大きく、急激な温度変化に対応しようとして血管が伸び縮みを繰り返すことにより血行不良が生じます。そして体が冷えることで、余分な水分や老廃物の排出が滞り、むくみにつながります。
2.水分のとりすぎ
熱中症予防で水分補給する習慣が涼しくなってからも続き、結果的に水分のとりすぎにつながっている場合があります。とりすぎた水分が排泄されず、めぐりが悪くなるとバランスが崩れてむくむことも。利尿成分の入った飲み物を取り入れてうまく調整しましょう。
3.食生活の変化
食欲の秋はついつい食べ過ぎて塩分や糖分過多になってしまうことがあります。糖分はエネルギーとして使われないと脂肪になってしまいますが、実は塩分と同じように水分と結びついてむくみになって現れる性質もあります。むくみを軽減するために塩分を調整している人は多いかと思いますが、糖分にも注意が必要です。
▼おもな利尿成分

・カフェイン
いらなくなった水分を排泄する成分としてとても身近なものがカフェインです。カフェインはアルカロイドと呼ばれる植物由来成分で、コーヒー豆や茶葉だけでなくさまざまな植物に含まれています。
カフェインには疲れを感じたときに分泌される「アデノシン」という物質を弱めて、腎臓の血流を活発にする役割があります。この働きによって腎臓が元気になり、尿を大量に生成するのです。尿量が増えると、体内の水分が減少するためむくみ解消に役立つという原理です。ただし、カフェインをとりすぎてしまうと、むくみケアに有効なカリウムも消費されるため飲み過ぎに注意しましょう。
・アルコール
ビールを飲む人ならトイレが近くなるという経験をしたことがあるかと思いますが、アルコールにも利尿成分が含まれています。アルコールを摂取したうちの20%は胃、残りは小腸で吸収され、最終的に肝臓で分解されます。アルコールが吸収されると尿を作らないようにする働きが抑制され、腎臓で尿の生成がすすみます。その結果、尿意が近くなるという減少が発生し、体内の水分が排出されるのです。
・カリウム
カリウムは体に必要なミネラルの一種で、細胞、神経伝達、筋肉と関わりがあります。むくみにいいといわれるのは塩分と水を尿として排出する働きがあるからです。その他に細胞内液の浸透圧や体液の酸性とアルカリ性のバランスを保つ働きもあります。カリウムが不足すると、やる気の減退、食欲不振、不整脈が出ることもあるため、成人男性は3000mg/1日、成人女性は2600mg/1日の摂取が推奨されています。
ホウレンソウや人参、バナナに含まれていますが、水に溶けやすい性質を持つため、煮たり茹でたりすると栄養が水に溶け出してしまいます。ですので、生で食べたり、ドライフルーツにしたりして食べることをおすすめします。
▼利尿成分が含まれているものを飲むメリット・デメリット

1.メリット
・むくみケアができる
疲れるとついつい味の濃いものを食べてしまいますが、これらは塩分が多く含まれとりすぎると血液のめぐりが悪くなり、むくみを引き起こします。利尿成分が含まれているものを飲むと、体内にたまった水分と塩分を尿とともに排泄してむくみの防止に役立ちます。
・老廃ぶつの排泄をサポートする
老廃ぶつを排泄することをデトックスと呼びますが、これは体内に溜まったいらないものを尿や便、汗と一緒に外に出すことをいいます。水分のとりすぎ以外に生活習慣の乱れ、ストレスが原因で排出が追いつかなくなったものを出すことにより体もすっきりさせます。
・高血圧予防
健康な血液は水分と塩分などのバランスが一定に保たれています。しかし、塩分をとりすぎて血液中の塩分濃度が上がると、それを薄めるために水分が溜め込まれます。そして血液量が増えることによって、血管に対する圧力が上がり、高血圧の不安が訪れますが、カフェインやカリウムが含まれるものを飲むことでそのような不安が軽減されます。
2.デメリット
・トイレが近くなる
腎臓が活発になり、尿が生成されやすくなるため、トイレが近くなる傾向があります。長時間の移動や映画館、席をはずせない予定があるときは避けましょう。
・脱水症状になる
運動中の水分補給を目的として飲むと、同じくらいの尿も排泄されます。そのため、水分補給になるどころか、脱水症状になってしまうケースも。運動時はスポーツドリンクやノンカフェインの麦茶を飲むようにしましょう。
・体が冷える
体のために飲み物を変えても、冷たいものを選ぶと体の内側から冷えて血流が悪くなりむくみが生じてしまいますので注意が必要です。できるだけ、温かいものや常温のものを取り入れるようにしてください。
▼利尿成分が含まれている飲み物

1.コーヒー
カフェインが含まれているのは有名ですが、カリウムも豊富に含まれています。排泄を目的として選ぶ場合は浅煎りコーヒーを購入しましょう。焙煎時間が短いため、カフェインの含有量が多くなります。起床後1~2時間以内に飲むとストレスホルモン、コルチゾールの分泌が落ちつき、カフェインの効果を感じやすくなります。
2.緑茶
緑茶は玉露のような高級な茶葉に多く含まれます。リラックス効果や集中力向上に役立つL-テアニンと結合しているため、急激な興奮や飲んだあとの疲労を感じにくい特徴があります。カフェインを摂取する目的で飲む場合は沸騰したての熱いお湯を使って抽出しましょう。
3.紅茶
紅茶にはテアニンやタンニンといったカフェインをやわらげる成分が含まれているため、コーヒーよりも刺激が低いとされています。いろいろな茶葉がありますが、特に多く含まれているのはアッサムとダージリン、セイロンです。抗酸化が期待できるカテキンも含まれているため、美肌にもつながります。
4.ココア
ココアにはカカオ豆100%のピュアココアとココアパウダーに砂糖と乳製品が加えられているミルクココアの2種類があります。ピュアココア1杯分にはカフェインが10mg、カリウムが140mg含まれているのに対し、ミルクココアは微量のカフェインと451mgのカリウムが含まれています。カフェインを取り入れたくない人はミルクココアを選んでください。
5.豆乳
豆乳200mlあたりにカリウムが380mg含まれています。他にも女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと似た成分の大豆イソフラボンが豊富です。PMSや月経による症状をやわらげる働きを持っているため、生理前後のイライラやむくみが気になる人におすすめです。
6.牛乳
牛乳はカルシウムのイメージが強いですが、一杯あたりに300mgのカリウムが含まれています。さらに筋肉を作るたんぱく質や肌を健康に保つビタミンA、疲労回復に役立つビタミンBといった栄養素も含まれるため、コーヒーや紅茶に入れて飲むとむくみ以外のケアも一緒にできます。
7.野菜ジュース
カリウムが豊富な野菜にはほうれんそう、ブロッコリー、人参、トマト、かぼちゃがあります。なかでもトマトジュースには200mlあたり520mgのカリウムが含まれているため、むくみが気になるときはトマトジュースを選ぶといいでしょう。バナナ、メロン、パイナップル、キウイ、オレンジもカリウムが豊富ですので、これらを使って自分でジュースを作るのも効果的です。
むくみの元となる水分を排泄しやすいおもな成分はカフェイン、アルコール、カリウムの3種類です。自分の好みやタイミングに合わせて選んで、むくみレスな秋を送りましょう。