たびたび、ニュースで取り上げられる有機フッ素化合物(PFAS)問題。なんとなく体に悪いイメージはあるけど、どういうものなのかはいまいちつかめない。そういう方も多いのではないでしょうか。この記事ではPFASとはどういうものなのか、そしてどんな影響を与えるのかを解説します。ぜひ最後まで読んで理解を深めてくださいね。
▼有機フッ素化合物(PFAS)とは

フッ素樹脂加工のフライパンや、傘やレインコート、靴を水から守る撥水スプレー、化粧品など、フッ素は身近なところに存在しています。熱に強く、水や油をはじく性質があることから、このようなシーンで使われています。
私たちの生活においてはとても便利なものですが、自然界では分解されにくいことが問題になっています。人間の健康に関わることはもちろん、動植物の生息、生長にも影響を及ぼすのではないかと考えられています。実際に動物実験が行われた結果、健康への影響が報告され、日本国内では2021年までに製造・輸入が原則禁止されるようになりました。
その背景には水に溶けやすく分解されにくいという、有機フッ素化合物(PFAS)の持つ特性が注目を集め、河川から海に流れこむとそのまま残ってしまうという問題が浮き彫りになりました。
▼人体にはどんな影響があるの?
有機フッ素化合物(PFAS)が土壌に流れてしまうと分解されるまでに1000年以上の月日を要するほど有害な物質です。それらが飲み水や海の幸を通して私たちの体内に入った場合、一生分解されることなく居続けてしまうのです。
アメリカの学術機関によると、発がん性、新生児の低体重、免疫力が下がる、血液中のコレステロールが上昇するなどのリスクが考えられるとされています。
▼歯みがき粉のフッ素は大丈夫?

身近にあるフッ素といえば、歯みがき粉がありますが、これは有機フッ素化合物とは別物です。虫歯予防で使うものは「無機フッ素化合物」とよばれ、人工的に作られたものです。
歯に使われているフッ素はフッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム(Na2PO3F)といわれるもので、水に溶けると同時にマイナスイオンになります。これらは歯の表面にあるエナメル質(ハイドロキシアパタイト)が酸によって溶けないようにするために使用します。そして、塗布することによって、溶け出したエナメル質を再石灰化させるのです。
そして、エナメル質の中にあるカルシウムやリンよりも強く結合するフルオロアパタイトという成分を作り、虫歯菌が活性することを防いだり、酸が増えたりするのを抑制します。こちらはまったく問題ないので、安心してくださいね。
▼家庭でできる有機フッ素化合物対策

1.浄水器を使用する
家庭内で取り入れないようにするには浄水器が効果的です。しかし、商品によってフィルターの性能が異なるため、商品によっては防げないものもあります。購入前にきちんと確認しましょう。チェックするポイントは除去率です。PFOS、もしくはPFOAを70~80%除去できるものを選びましょう。また活性炭フィルターや逆浸透膜(RO膜)を使用した浄水器も有効です。フィルター式以外では浄水型ウォーターサーバーもおすすめです。水道水をタンクに注いで使用するタイプで、温水、冷水をすぐに出せるのも魅力的です。
2.ウォーターサーバーを使用する
家庭によっては浄水フィルターを設置できないタイプの蛇口だったり、シンクまわりに浄水器を置く場所がなかったりすることもあると思います。その場合はウォーターサーバーを設置しましょう。ピュアウォーターとよばれるものや富士山や南アルプスの天然水など自分の好みに応じて選べます。しかし、水を選ぶ以外に注意するポイントが何点かあります。それは水交換の負担です。自分で交換できる重さかどうかをチェックしましょう。あとはサーバーのデザイン、水ボトルの受け取りやすさも重要なポイントです。
3.有機フッ素化合物(PFAS)フリーの製品を選ぶ
口から入る可能性があるものの一つに、フッ素樹脂加工のフライパンやホットプレートがあげられます。フッ素加工の製品は油を引かなくてもこげつかない、汚れが落ちやすいというメリットがありますが、料理と一緒に体内に入れてしまう可能性があります。そのため、PFASもしくはPFOAフリーとなっているものかどうかを確認して購入するようにしましょう。どうしても心配な場合は鉄やステンレス、銅製の調理器具を選ぶと安心です。
なにかと話題になっている有機フッ素化合物(PFAS)。人体に滞留し続けるといわれると不安になってしまいますが、私たちができることは、取り入れないように気をつけること。それが地球環境を守ることにつながります。フッ素樹脂加工のフライパンや、撥水スプレー、化粧品などを購入するときはPFOSやPFOAフリーのものかどうかを確認して選んで健康的な生活を送りましょう。