ケトジェニックダイエットのポイントと体脂肪を減らす方法とは

ケトジェニックダイエットのポイントと体脂肪を減らす方法とは

ダイエットは体重を減らすためにやるものですが、近年、体重よりも体脂肪を減らすことが重要視されるようになり、フィットネスジムでも体脂肪率を減らすための指導がされています。そこで注目されているのがケトジェニックダイエットです。今回はまだまだ実践している人が少ないこの方法を紹介したいと思います。

▼ケトジェニックってなに?

ケトジェニックという言葉はケトン(ketone)という脂肪が分解される際に作られる物質とギリシャ語で生成する、生み出すという意味をもつジェニック(genic)という2つのワードがあわさった言葉です。体内で脂肪を分解してケトン体というエネルギー源を作り出す状態をあらわしています。

人間のエネルギー源は2つあり、ケトジェニックとグルコジェニックに分類されます。ケトジェニックは体脂肪を燃やすことによって脂肪酸を分解し、肝臓からケトン体を作り出します。そのケトン体が脳や筋肉のエネルギー源として使われるため、結果的に脂肪が減っているという考え方です。もうひとつの、グルコジェニックは米や麺、パンなどの糖質(炭水化物)から作られたブドウ糖をエネルギー源としていることを指し、通常はこの状態です。

ケトジェニックダイエットとは、糖質から作られたエネルギーを使うのではなく、脂肪を燃焼させたエネルギーを使うことで体脂肪を落とすことに着目します。そして理想のボディを作っていこうという考え方です。

▼ケトジェニックダイエットの基礎知識

通常の減量は糖質の摂取量を調整することを中心にしますが、ケトジェニックダイエットは三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスに注目します。Protein(たんぱく質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)の頭文字をとって、PFCバランスを意識するというふうに表現します。

糖質制限は糖質を控えますが、たんぱく質や脂質に対しては制限がないため、食事に対する自由度が高いという特徴があります。しかし、ケトジェニックダイエットは脂質をエネルギー源に変えることを目的とするため、PFCバランスを厳密に管理します。

▼ケトジェニックダイエットが向いている人

1.体脂肪を最短で減らしたい人

糖質を抑えて脂肪燃焼を効率的にするダイエット方法のため、目標体重まであと2kgという段階で一気に絞りたいときにおすすめの方法です。着たい服が着られなくなった、もしくは健康診断が近づいているという人にも向いています。

2.できるだけ空腹感を抑えたい人

炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスが決まっているので、なにかを我慢することが苦手な人に向いています。また、血糖値を安定させるため空腹が感じにくくなり、食べすぎを防止できます。

3.日常的に体を動かしている人

脂肪を燃焼させるには筋トレのような無酸素運動のあとに有酸素運動をすると効果的といわれています。そのため、脂肪を燃焼させることを目的としているケトジェニックダイエットとの相性が抜群です。

▼ケトジェニックダイエットのポイント

1.1日の糖質摂取量を20~50g以下にする

通常のダイエットと同じようにケトジェニックダイエットには糖質制限も欠かせません。計算に必要な数字は体重と基礎代謝基準値、活動レベルの3つです。*1*2を参考に計算してください。

【糖質量の計算方法】

1日の糖質量=(体重✕基礎代謝基準値*1✕活動レベル*2)✕0.025

*1 基礎代謝基準値

・18~29歳:男性 23.7 / 女性 22.1

・30~49歳:男性 22.5 / 女性 21.9

*2 活動レベル(18~64歳)

・レベル① 座っている生活が中心でほとんど動かない→1.50

・レベル② 座っていることが多いが、通勤や家事、軽い運動を行っている→1.75

・レベル③ 通勤以外にも移動が多いもしくは立ち仕事をしている→2.00

計算例)

体重55kg 32歳 活動レベル②の女性

55✕21.9✕1.75✕0.025=30.15g

この30.15gという数字が1日の糖質摂取量になります。この数値を意識しながら献立を決めるとよいでしょう。

2.1日の摂取カロリーを通常の7割から8割に抑える

糖質制限と同様に大切なことが摂取カロリーの管理です。通常の7割から8割に設定することが大切だと推奨されています。これによって減量しながらも必要な栄養素はきちんととることができるのです。

しかし、過度な制限は筋肉量を減らしたり、基礎代謝の低下を招いたりする可能性があります。普段2000Kcal摂取している場合はケトジェニックダイエットをしているときだけ1400~1600Kcalに設定するようにするとよいでしょう。

【摂取エネルギーの計算方法】

摂取エネルギーを算出するときも糖質量と同じように基礎代謝基準値と活動レベルが必要になります。*1*2を参考に体重と基礎代謝基準値、活動レベルの3つを当てはめてください。

摂取エネルギー=(体重✕基礎代謝基準値*1✕活動レベル*2)

*1 基礎代謝基準値

・18~29歳:男性 23.7 / 女性 22.1

・30~49歳:男性 22.5 / 女性 21.9

*2 活動レベル(18~64歳)

・レベル① 座っている生活が中心でほとんど動かない→1.50

・レベル② 座っていることが多いが、通勤や家事、軽い運動を行っている→1.75

・レベル③ 通勤以外にも移動が多いもしくは立ち仕事をしている→2.00

計算例)

体重55kg 32歳 活動レベル②の女性

55✕21.9✕1.75=2107Kcal

この計算によって摂取エネルギーを7割にするときは1474Kcal、8割の場合は1685Kcalということが判明します。

3.PFCバランスのよい食生活を心がける

最後にすることはPFCバランスを整えることです。最適なPFCバランスはたんぱく質が約30%、脂質が約60%、糖質が約10%の割合が推奨されています。この「3:6:1の法則」によって糖質より脂肪を優先的に燃焼しエネルギー源として利用されるようになるのです。

1日あたりの摂取カロリーの7~8割が2000Kcalの場合はたんぱく質が600Kcal、脂質は1200Kcal、炭水化物は200Kcalのバランスにするとよいことが判明します。しかし、カロリーのままでは具体的な量がわかりにくいため、グラム換算して必要な量を算出します。

・カロリーをグラムに変換しよう

たんぱく質:4Kcal

脂質:9Kcal

炭水化物:4Kcal

これを「3:6:1の法則」で出した数字に当てはめます。

たんぱく質:600Kcal ÷ 4Kcal = 150g

脂質:1200Kcal ÷ 9Kcal = 133g

炭水化物:200Kcal ÷ 4Kcal = 50g

このように1日に食べる量が判明します。この量を守ると体内がケトーシス状態になり、脂肪をエネルギーとして使える体になるのです。

しかし、食べられる炭水化物がこれだけだと、脳が働かなくなるのではないかと思われるかも知れませんが、ケトン体がブドウ糖の役割をして脳にエネルギーを与えるため問題ありません。しかし、長期間のダイエットには向いていません。筋肉量、代謝の低下につながるからです。目標体重までのゴールが見えているときや、2、3か月先のイベントに向けて取り組むのがおすすめです。自分の体調や性格に合わせて取り組んでみてくださいね。