人間と同じように、犬にとっても水分補給はとても大切です。しかし、散歩のあとや食事の際に飲む量が少なく、心配になるときもあるのではないでしょうか。今回は飲まない原因と対処法、適切な水分量を紹介します。
▼犬が水を飲まない原因

愛犬が水を飲まないのは飼育環境だったり、ちょっとした体調不良だったりいくつかの原因があります。それでは、どういうことがきっかけで水を飲まなくなるのか、ここでは具体的な例を紹介します。
1.水のニオイが気になる
犬の嗅覚は人間の数千倍から1億倍といわれるほど優れているため、人間が気づかないような水道水のカルキ臭や、古くなった水の匂いも犬は強く感じ、飲むのを嫌がることがあります。散歩のあとや食事の前、それ以外にもこまめに替えることが大切です。
2.水入れにぬめりがある
毎日水を替えていても、唾液や食べかすが混ざるとすぐに雑菌が繁殖し、容器にぬめりが生じます。それを敏感に察知して不衛生な水だと判断すると、口をつけようとしなくなるのです。水を替えるときに水入れも一緒に洗いましょう。
3.水入れの容器が合わない
容器はプラスチック、陶器、ステンレスなどさまざまな種類がありますが、その素材や形状、高さに対して飲みづらいと感じると避ける場合があります。特に、腰や関節に痛みのあるシニア犬は低い位置にあるのが辛いと感じるため、高さを工夫してあげましょう。
4.ストレスを感じている
騒がしい場所や人の出入りが多い場所に水入れがあると、落ち着いて飲めないことも。水入れは清潔な状態なのに、飲まない場合は健康面を観察してみるといいですね。また、引っ越しや家族構成の変化などによってストレスを感じたとき、一時的に飲水量が減るケースもあります。
5.健康の問題が潜んでいる
突然、水を飲まなくなったときは環境の問題ではなく、健康上の問題が潜んでいる可能性もあります。口腔内の痛みや歯周病、口内炎、歯がぐらつくなど、口の中に違和感があると、水を飲もうとしなくなります。犬も人間と同じでシニアになると喉の渇きを感じにくくなることも。このような状態になると、飲む量が自然と減少します。
▼すぐにできる・5つの対処法

1.こまめに水を交換する
水分補給は喉をうるおすだけでなく、健康維持にもつながりますのでこまめに交換しましょう。最低でも食事ごとに水を入れ替えてください。夏場は水の鮮度が落ちやすく雑菌が繁殖しやすいため清潔にすることが求められます。
2.新しい水に替える
水が減ったら継ぎ足すのではなく古い水は捨て、新しい水を入れましょう。その際、ぬめりが出てこないように洗剤を使ってしっかり洗い、ていねいにすすぐようにしてください。また、プラスチック製の水入れはニオイが残りやすいので、陶器やステンレスのものにするとよいでしょう。
3.水飲み場を増やす
水飲み場が騒がしい場所にあったり、人の出入りが多かったりする環境で飼育しているときはリラックスして飲めるように工夫しましょう。リビング、寝室など、犬がよくいる場所に置いてあげると、自然と飲む機会が増えます。
4.水分の多い食事を与える
あまり水分を取りたがらないときはウェットフードに切り替えたり、ドライフードに犬用のスープを少量かけてあげたりするのも効果的です。ただし、かけすぎるとフードがふやけすぎてしまい、犬が食べなくなることもあるので様子をみながら与えてください。
5.給水器を使う
自宅を留守にする時間の多い人は給水器を検討しましょう。給水器は大きくわけて3つのタイプがあり、循環型はタンクが大容量のため家を空ける時間が長い人に向いています。ディスペンサー型はタンクに貯めた水が重力によって自動的に補充される仕組みです。電源がいらないので設置場所に困りません。ペットショップやホームセンターでチェックしてみてくださいね。
▼犬に必要な水分量は?

犬が1日に必要とする水の量は、体重や活動量、食事内容、気温などによって異なります。健康な成犬が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約40〜60ml。愛犬が水を飲んでいるのか、そうでないのか分からない場合はこの数字を目安にするとよいでしょう。
1日に必要な水分量の目安
・小型犬(体重 5kg)200〜300ml
・中型犬(体重 10kg)400〜600ml
・大型犬(体重 20kg)800〜1200ml
これらの数字はあくまでも目安です。年齢や犬種、どんなものを食べているかにもよって調整する必要があります。ドライフードを食べている犬は食事から得られる水分が少ないため、目安より多めの水分を。一方、ウェットなドッグフードを食べている犬に対しては食事から水分を摂取できるため、あまり水分を取らないこともあります。運動量が多く、活発な犬はより多くの水を必要とします。普段の運動量から愛犬がどれくらいの水を飲んでいるか、量と頻度をチェックしてみることをおすすめします。
▼こんなときは動物病院へ

水を飲まない原因が環境的な理由であれば、それを解決すると同時に飲んでくれると思いますが、そうでない場合は病気になっている可能性も。以下のチェック項目にあてはまる場合は動物病院へ行って受診することをおすすめします。
・24時間以上水を全く飲まない
・食欲がない、元気がない、ぐったりしている
・下痢や嘔吐を伴っている
・おしっこの量が極端に少ない、または全く出ない
・歯ぐきが白っぽい、口の中が乾燥している
これらは脱水症状を引き起こしているサインかもしれません。命にかかわることもあるため、早めに受診してください。
犬の健康を維持する上でとても大切な水分補給。こまめに水を交換して、水入れを清潔に保つようにしましょう。そして、朝起きてから、散歩、食事中など、いつも通りかどうか、きちんと水を飲んでいるかどうか観察することが長く一緒にいることにつながります。この記事で紹介したことを参考にして、水分補給を見直してみてくださいね。