枯れ葉・古本・古い畳のようなニオイと表現される加齢臭。主に男性がなるものと思われがちですが、女性にも生じます。加齢やストレスで女性ホルモンが減少すると男性ホルモンの働きが活性化し、加齢臭が発生しやすくなるのです。
今回は加齢臭の種類や原因、特徴に加えて、自分のニオイが気になる方も安心できるセルフチェックの方法を紹介します。さらに日常生活の中でできる対処法など、ニオイを気にせず快適に過ごすヒントをお伝えします。
▼加齢臭の原因はなに?

一般的に体臭の元は皮脂腺から出る皮脂と汗腺から出る汗、そして皮膚の常在細菌です。汗腺にはエクリン汗とアポクリン汗の2種類があり、皮脂には皮脂腺から出る皮脂と角質層の中にある脂質があり、それぞれ水分を分泌します。
この皮脂と汗は臭い印象を持たれるかもしれませんが、発生した直後は無臭です。時間が経つとともにそれぞれが混ざり合い、酸化することによってニオイ物質が発生します。
加齢臭はノネナールという皮膚ガス成分が原因です。この物質は、皮脂に含まれるパルミトレイン酸が過酸化脂質という強力な酸化剤によって酸化されることで生成されます。これが枯れ葉・古本・古い畳を彷彿させるニオイを発生させるのです。皮脂や汗は肌を乾燥から守るバリアの役割をしますが、加齢臭を生み出す原因にもなるのです。
▼性別による違いもあるの?

皮脂の分泌量は男性ホルモンが関係し、一般的に男性の方がニオイが強いとされているのはそのためです。しかし、女性にも加齢臭は発生します。更年期を迎えて女性ホルモンが低下すると男性ホルモンの働きが優位になり、女性からも枯れ葉や古本を思わせるニオイが出てきてしまうのです。
▼加齢臭が発生しやすい場所はどこ?

ニオイは全身から出てくるイメージがありますが、部位によってニオイが異なります。主な部分をあげましたのでチェックしてみてくださいね。
1.頭皮
頭皮は皮脂腺、汗腺ともに多いため、ニオイの原因物質が発生しやすくなります。また、髪を洗わないで寝たり、帽子を長時間かぶったりすると頭皮環境が悪化し強いニオイを醸しだします。
2.耳のうしろ
耳のうしろは洗う習慣がない人もいるほど、忘れられやすい部分です。意識的に洗うようにしないとシャンプーやトリートメントのすすぎ残しや皮脂によってニオイが強くなります。
3.うなじ
うなじから出る加齢臭はミドル脂臭ともいわれ、使い古した油のようなニオイが特徴的です。ホットフラッシュのように一気に出る汗に含まれる乳酸が常在菌に分解される際、ジアセチルという不快なニオイ成分を排出させます。
4.背中
通気性の悪い衣服で汗をかいたままにしておくと湿度が高くなり、細菌の繁殖を助長し枯れ草のようなニオイを漂わせます。それが習慣になると背中ニキビなど新たなトラブルを招くこともありますので、清潔に保つようにしましょう。
5.脇
脇にある汗腺はアポクリン腺といい、脂質やタンパク質を含む汗を分泌します。その後、常在菌によって分解されることによって酢やスパイスのような強いニオイを放ちます。
▼加齢臭のセルフチェック

加齢臭の困るところは自分では気づきにくいところではないでしょうか。同じニオイを嗅ぎ続けていると、鼻が慣れてしまうため自分では気がつかない場合があります。ここでは自宅で実践できるセルフチェックの方法を紹介します。
h-3 1.着用後の衣類を確認する
1日来た服をポリ袋にいれて密封してしばらく置きます。その間、外出して嗅覚をリセットさせましょう。リセットしたあとに、密閉した袋を嗅ぐと自分の体臭がどんなものか、確認できます。
2.枕を嗅ぐ
枕は、頭やうなじ、耳のうしろのニオイがしみこみやすいため、加齢臭チェックに向いています。洗いたての枕カバーを使った翌朝に嗅いで自分のニオイを確認しましょう。
3. 耳のうしろ、うなじをチェック
耳のうしろやうなじを指で頭皮をこすり、その臭いを嗅いでみることで、加齢臭の兆候を確認できます。耳のうしろはアカがたまっているだけの場合もありますので、毎日洗うようにすると解消できます。
技術の進歩により、検査機関からキットを取り寄せて調べることも可能です。加齢臭の原因物質であるノネナールやジアセチルの濃度を測定し、専門機関で分析してもらえるようなサービスがありますので、セルフチェックをしても不安な場合はこのようなサービスも検討してみてください。
▼今日からできる加齢臭対策

加齢臭は年齢的なものだからどうしようもないと思われるかもしれませんが、ノネナールやジアセチルは汗が排出された瞬間は無害です。ニオイは長時間放置することによって発生するため、清潔に保つことが加齢臭の軽減につながります。
1.ニオイ対策用のボディソープを使う
毎日使うボディソープを加齢臭や体臭用のものに変えるのもおすすめです。購入時にニオイ予防、殺菌、消臭、デオドラント、からだスッキリのような表示があるかどうか確認しましょう。
ニオイの元をおさえる成分はイソプロピルメチルフェノール(シメン-5-オール)です。ニオイを元から抑える働きがあります。ニキビを予防する成分でもありますので、背中にポツポツができやすい人にもおすすめです。
ジムやヨガなど、運動後の汗臭さをなんとかしたい人は消臭成分のあるものを使いましょう。おもな成分はカキタンニンです。カキタンニンは柿の果実から抽出されるポリフェノールの一種で、加齢臭の元になるノネナール、汗のニオイを発生させるアンモニア、足のニオイの元になるイソ吉草酸を抑制します。また、雑菌の繁殖を防ぐ働きもあるため、ニオイの原因対策にも期待できます。
2.汗をかいたらこまめに拭き取る
日中も体臭が気になるときはこまめに拭き取るようにしましょう。頭皮やうなじ、耳のうしろは汗をかいたら薄手のタオルやハンカチで抑えるようにして拭き取ります。汗を拭いたタオルのニオイがきになるときはボディシートを使うとよいでしょう。
脇のニオイに対しては脇汗パッドのついたインナーを着ると汗が服につくのを防げます。背中に汗をかきやすい人は速乾性のあるインナーを選んでください。汗を瞬時に吸収してサラッと感を持続させます。
加齢臭対策は洗濯のタイミングも重要です。放置すればするほど、皮脂汚れが酸化してニオイが発生するので、その日のうちに洗うのをおすすめします。汗をかきやすい襟元や脇はお湯で予洗いするといいでしょう。そして洗剤の選び方も重要です。加齢臭は酸性に傾いているため、アルカリ性の洗剤を使うと中和反応が起きてニオイを洗い流せます。洗剤選びの参考にしてみてくださいね。
3.食事を見直して体質改善
ニオイは皮脂が酸化することによって発生するため、脂質の多い食事を控えて酸化を抑制する食事を選ぶことも大切です。
脂質の多い食事の代表格は揚げ物や脂身の多い肉類です。突然減らすのは難しいと思いますが、揚げ物を煮物や蒸し料理に変えるだけで油の使用量が抑えられます。さらに、豚や牛肉のロースをヒレ肉にしたり、鶏のもも肉を胸肉にしたりするとよりヘルシーになりますので、できるところから工夫してみてください。
酸化を抑制する食品は、ビタミンCを含む柑橘類や、キウイ、ブロッコリーです。ポリフェノールを含むリンゴ、ブルーベリー、緑茶も積極的にとりましょう。食物繊維も食べるようにするとイヤなニオイを外に排出するために役立ちます。いつもの料理にキノコ類や海藻類をプラスするだけなので手軽に実践できます。
▼加齢臭を緩和するおすすめグッズ3選
今日はいつもよりにおうかもと思った瞬間からストレスを感じて目の前の事に集中できなくなる人もいるほど、加齢臭はセンシティブな問題です。そんなストレスを減らして快適にしてくれるグッズを紹介します。
1.ボディシート
かばんに一ついれておくと、汗をかいたときにサッと拭けて便利です。ニオイ対策には殺菌、消臭成分が入っているものを選びましょう。使用する部位によって適切なサイズが異なります。ジムやヨガ帰りに使うときは全身が拭けるもの、仕事中は耳のうしろやうなじ用にコンパクトなものを用意するなど使い分けてくださいね。
製品によっては肌をサラサラにするためのパウダーが入っているものもあります。使うシーンや時間帯によっては毛穴をふさいで逆効果になることもありますので気をつけましょう。
2.アロマスプレー
加齢臭対策には香りの強い合成香料ではなく天然のアロマスプレーを使いましょう。アロマに含まれる天然成分にはニオイを中和させるデオドラントの働きがあるからです。なかでも爽快感を演出するミント、すっきりさせながらも安心感を得られるオレンジ、まわりの空気をクリアにするレモンの香りはまわりに不快感を与えることなくケアできます。
アロマだったら何でもいいかというとそういうわけでもありません。バニラ、ジャスミン、ローズ、サンダルウッドなど甘さを含む香りは、汗とまざって不快感を生むケースもありますので注意してくださいね。
3.ナノバブル発生装置・ビューティアクア
加齢臭ケアの近道は身の回りを清潔にすること。頭ではわかっていても、実践するのは大変だと感じる人はナノバブル発生装置・ビューティアクアを設置しましょう。ビューティアクアは水道管に設置して家中の蛇口からナノバブルを発生させるため、湯船、シャワーヘッド、洗濯機でナノバブルが使用できます。
ナノバブルの小さな泡が毛穴や繊維に入り込み、加齢臭の元となる汚れに吸着して取り除きます。1度設置すれば家族全員で使えるので、ボディソープや洗剤を個々に分ける必要もいりません。アレルギーで洗浄力が強い洗剤は使えない人にも使っていただけますので身体に優しく清潔感を保ちたい人にぴったりです。
加齢臭は年齢を重ねる上で避けては通れないものですが、意識を変えるだけで軽減できるものです。ニオイの原因をチェックして、快適に過ごすために工夫してみてくださいね。